こども未来館 小牧市議会本議会での市長意見書に物申す2018年12月13日 08:59

 山下市長は12月11日の市議会にこども未来館整備計画の是非を問う住民投票条例を付議しました。意見書を付け、最後は「住民投票条例は制定すべきでないと、強く訴える」と、10015筆の民意を否定し反対するという態度を明らかにしたのです。

 ここでは、山下市長の意見書を取り上げ、どんな問題点があるのかを明らかにしたいと思います。

 まずは、こども未来館建設に関わる経過の問題です。

 こども未来館の整備過程で、「審議会からの答申を尊重する形で新図書館の建設場所をA街区とする考えを固めた後、こども未来館をラピオ内に早期に整備することになった」という点についてです。

 それは事実とは明らかに違っています。事実は、市長がA街区図書館建設を文教建設委員会に提出したのは、4月27日のことでです。その同じ日にラピオ内にこども関連施設を創ると言っており、これは、こども未来館のことを指すと考えられます。つまり、ラピオ内こども未来館建設とA街区図書館建設の構想は、同時に進行していたわけです。

 また、その発表前4月10日にはすでに、ラピオからの平和堂の撤退が発表されていたわけです。2月8日審議会答申が出た後に、4月10日平和堂撤退すなわちラピオに空床がでるという情勢の大きな変化があったわけであり、その時点で新図書館をどこに造るか立ち止まって考え、また議会に問う機会は十分あったはずです。

 また、こども未来館は「6次総合計画新基本計画の3つの都市ビジョンに基づくものである」という言い方についてですが、これも正しくはないと思います。  こども未来館については、第6次総合計画では全く触れられていません。「各地区の児童館、児童クラブ、子育て支援センターなどを地域で行う子育て支援の拠点として位置付け・・・」というように、地域の小型児童館や児童クラブ、子育て支援センターの記述はあっても、こども未来館のこの字も書かれてはいません。

 また、第6次総合計画新基本計画でも、都市ビジョン1で「こども夢チャレンジNO1都市」とは言っていますが、具体的な政策では、地域こども子育て条例の制定が出てはいますが、こども未来館の記述は一切ありません。それは、4月27日の文教建設委員会の場で、急に出てきたものです。

 

 次に、建設の内容に関わることです。まず言っておかなければいけないのは、子育て世代包括支援センターをラピオに入れることに自体は、何の問題もないと考えます。というか、それはすでに開設されていることです。

 そして、児童センターを「市の子育て支援の中核施設として、中央児童館として位置付け、市内はもとより、市外からの利用も考えている」という点についてです。

 まず言わなければいけないのが、児童センターには、各地域の小型児童館を指導したり、連絡調整したり、まとめたりする機能はないということです。それは、都道府県設置の大型児童館がすることです。ですから、こども未来館が中央児童館であるという言い方は、ふさわしくありません

 また、市外からの利用も想定しているというのは、全くありえないというのではないにしろ、児童センターの本来の役割である「地域の拠点・子どもの居場所になり、その中で日常的にこどもが成長するところに、児童館・児童センターの意味がある」というガイドラインに基づいた位置づけを無視した考え方ではないでしょうか。

 なお、蛇足ではありますが、「児童館は中学校区ごとに整備している」という点は、明らかに事実誤認をしています。現在、光ヶ丘中学校区と岩崎中学校区には児童館はありません

 

 次に、「市民への周知については、基本構想策定や設計のためのワークショップを開催し、随時その経過を市のホームページで公開している」という点に関してです。

 ワークショップというのはそもそも一般的には「体験型講座」を指しています。遊びのような活動を行ったり、制作や表現活動をしてそれを披露したり、ディスカッションをしながら思考力・表現力などのスキルを伸ばす場所という意味です。双方向のやりとりはあるにしろ、パブリックコメントのように市が公的に市民の意見を聞くものとは性格が違うもののはずです。

 実際、図書館問題のワークショップに参加した人からは、「設計図段階なのに建築見本を見せて、意見をきくというより建築見本のおひろめの要素が強いと感じた。」という感想もありました。それから今回多かった、特に中高生を対象としたワークショップというものは、体験しながら学習する・勉強するという要素が強いものです。ですから一般的に、ワークショップを開くことが市民の意見を聞くことにはなるわけではないと思います。ましてや、パブリックコメントと同列におくのは、どうやっても無理があります。

 そして今回、その設計段階ワークショップですら、中学生を中心に各回平均15名程度が参加したものにとどまっています。有識者と言われている人のワークショップは各回8名程度の参加です。これで市民の声を聴いているというのは、どう考えても無理です。

 意見を聴くというのなら、パブリックコメントの内容がどう施策に生かされたのか説明するのがまず必要なことではないでしょうか。説明会などを開き、説明責任を果たすことが大切だと思います。

 

 次に、住民投票を実施するにあたっての諸問題についてです。

 まず、「市長選の告示前に住民投票運動が行われることになる。」ということについてですが、これは、何が問題なのでしょうか?  投票となれば費用が伴うことになります。できるかぎりかかる費用の少ない方法を考え、市長選挙、市議会議員補欠選挙との同日投票という形で住民投票を実施し、そのための条例を制定することを目指すことが、いけないということなのでしょうか?

 そもそも、こども未来館の是非を問う住民投票と、市長を選ぶ市長選挙の目的を混同させる方がおかしいと思います。それぞれ、個別に進めていけばいいだけのことです。「市民が混乱する」というのは、市民がそういう区別もできないということを念頭に置いた、おかしな考え方だと思います。

 次に、今後のことを含めた考え方についてです。「こども未来館整備の是非のみを問う住民投票は、市政に混乱と停滞を招く」という点です。

 しかし、その心配は無用ではないでしょうか。まだ設計段階ですから、これからまだ、いろいろな道は残されています。しっかり市民の声を聴き、是非を決める住民投票が実施されれば、自ずと今後の道は決まってくると思います。

 少なくても私は、ある程度のプランを持ってはいますが、それを押し付けることをしたくありません。市民は、今後のことも含めて考えていると思います。そういう意味で、市民を、そして市民による住民投票を信じることが大事なのだと考えます。

 

 最後に、このこども未来館建設については、「市議会と市長が、広い視野と高い見地から問題を調査検討し、市民の代表である市議会において議論を尽くして決定したものだ。」という点についてです。

 国政・市政を問わず、議会制民主主義が基本であることは十分わきまえており、尊重しているつもりですが、その中心に座っているのは主権者たる国民・市民であることもまた忘れてはいけないと考えます。

 また、そういう意味で国民・市民の代表者はおごり高ぶってはいけないと思います。広く市民の意見を聴く謙虚さも必要なのだと考えます。

 何としても、本住民投票条例を採択し、住民投票を実施ほしいと思います。