4月臨時市議会に唐突に出されたこども未来館建設予算の問題点2019年04月05日 16:49

「4月8日に臨時小牧市議会を招集し、こども未来館を整備する工事費予算を含む平成31年度一般会計補正予算の議案を上程する」内容の告示が4月1日に行われました。
 これについて、いくつか問題となる点を書きたいと思います。
 まず1点目は、こども未来館建設については、市民の同意を得ることなしに建設を強行しようと予算が計上されたという点です。これについては、以前2月にこのブログで以下のように書きました。「(2月)市議会の採決で決まったことは、『こども未来館が是か非かという住民投票はやらない。』ということだけです。別に『市民がこども未来館の建設にオッケーを出した』などという類のものではありません。そういう意味で、ラピオへのこども未来館建設はいいのか悪いのか、こども未来館の中身を問うことは、まだこれから続いていくものです。」と。私たちは以前から「住民投票はまさにこども未来館建設を進めるべきかどうかの1点で民意を問うものですが、市長選挙は様々な争点があるので、住民投票と同一には見なせない。」と主張してきました。しかしそれにもかかわらず、住民投票実施は否決されてしまいました。またそれに加え市長選挙においても、山下市長は公開討論会にも出席せず、こども未来館についても多くを語らず、争点そらしを進めてきました。市長が当選したからと言って、それでこども未来館建設が市民に了承されたものではないのです。
 2点目は、こども未来館の建築設計における情報漏えいに関する第三者委員会の調査結果が出る前に、建設を強行する予算が計上されたという点です。この第三者委員会の調査結果公表は、条例の改正により5月31日まで延長されました。こども未来館及び子育て支援センター建設設計関連において、株式会社IRAが市の予定価格の100%で受注していた問題が4件も明らかになる中、現在第三者委員会による情報漏えい調査が行われている最中であるわけです。ですから道義的にも、現在の段階で一方的に建築予算を計上し、事業を強行する姿勢は到底許容されません。少なくとも第三者委員会の結論が出るまで事業を凍結することは当然のはずです。第三者委員会の調査を見守り、検証し、市民の多数が納得できる方法で解決していく必要があります。
 3点目は、なぜ4月のこの時期、臨時議会でのこども未来館建築予算計上なのかという点です。年度当初の3月定例市議会が終わってから1ヶ月もたっていないのに、山下市長は定例市議会では、当初予算の中にこども未来館建設予算を出さずに、なぜこの時期4月の臨時市議会で補正予算を出してきたのでしょうか?ここ2年間は4月に臨時市議会は開かれていませんでしたし、それ以前の年度でも、通常4月の臨時議会は諸税の更新等形式的な議題のために開かれるのが常で、今回のように、こども未来館建設のような大型の補正予算を伴った臨時市議会など開かれたことはほぼありませんでした。では、なぜ今なのか?第三者委員会の調査結果は出ていないのですから、それが理由というはずもありません。国の補助金についても毎年名目も変わるぐらいですから、これが理由になろうはずもありません。ここからは推測の域を出ませんが、3月の当初予算でこども未来館建設を出してしまうと、テレビ・新聞各社などに報道されるので、できるだけこっそり知られないようにこども未来館建設を進めたいという思惑があるのではないかとさえ勘ぐってしまいたくなります。もしそうだとしたら、情けないことです。
 4点目は、こども未来館建設予算の内容についてです。まず、建設の延床面積についてですが、6253㎡とのことです。設計段階からいうと、8000㎡から7000㎡、そして今回と減ってきてはいますが、それでも児童センターの設置基準336.6㎡以上(大型児童センターは500㎡以上)の18倍以上(大型児童センターの12倍以上)という広さがあります。この過大な広さについてのまともな説明はいまだかつてありません。建設金額で言うと、今年度が4億8000万余、来年度が11億2000万余であり、それにデジタルコンテンツ1億4000万余を加えて、総額約18億弱という金額です。このデジタルコンテンツというのは内容不明ですが、もしVRなどのソフトや機材を考えているのだとしたら、まさに日常的かつ地域にねざした児童センターの理念を無視した、客寄せパンダ・アミューズメント的施設であり、今まで批判してきた週末お出かけスポットを地で行くものに他ならないと考えます。そして、建築費だけでなく維持管理費も、子や孫の代まで続くことになります。
 以上のようにいくつもの問題を抱えながらも、すべてごり押しで通そうとする、これまで山下市長のやり方が今回も出てきています。しかし、いつもそれで済むわけではない。市民はしっかり見て、考えて、行動しますよ。



将来に禍根を残す臨時市議会でのこども未来館建設補正予算決定2019年04月09日 14:59

 8日臨時市議会において、こども未来館建設を補正予算に含めない修正案は、賛成6名で少数否決され、補正予算が通ってしまいました。しかし、この臨時市議会で出された論議を見てみると、とてもおかしな「論理」がまかり通ってしまっていると言わざるを得ません。
 まず、なぜこの時期4月に、当初予算から1か月もたっていない時期に、補正予算でこども未来館を建設するのか、まともな理由がありません。「『プレミアム商品券問題』で補正予算を組まなければならないので、(ついでに)こども未来館建設も補正予算を出した。」などという、「『おまけ』で予算計上」のような論理がまともに通用するはずもありません。
 「こども未来館建設と予定価格漏えい疑惑は別問題」という論理にも、根本的なところでいくつかの問題があります。まず、その前提となる「こども未来館建設は『市の政策として』やっているのだから、粛々と進める」という前提がおかしいということです。こども未来館建設は、市の第6次総合計画にも何もなく、『市長の意思で』提出されてきたものです。詳しくは経過について書いた過去のブログを見てほしいと思います。市の政策ではなく市長の案件として出されてきたのが、今回のラピオへのこども未来館建設計画です。
 また、「かりに第三者委員会調査で価格漏えいがはっきりしても、今回の件は『談合』には当たらないから、建設の決定が無効になることはない。だからこの案件は進めてもよいのだ。」という論理です。私たちが問題にしているのは、単に「法的に建設決定が無効になるかならないか」ということだけではありません。倫理的・道義的にも、漏えい疑惑の調査中で第三者委員会の結論が出る前に建設を進めてしまうことには大義がない、市民感情からしても到底納得できるものではないということです。そんな当たり前のことが、理解できないのでしょうか?
 「市長選挙で争点になり、現市長が当選したのだから、市民の同意を得ている」ということも、以前のブログで書いた通りおかしな論理です。私たちは以前から「住民投票はまさにこども未来館建設を進めるべきかどうかの1点で民意を問うものですが、市長選挙は様々な争点があるので、住民投票と同一には見なせない。」と主張してきました。しかしそれにもかかわらず、住民投票実施は否決されてしまいました。こども未来館建設が是か非かは、まだちゃんと市民に問われたわけではないのです。またそれに加え市長選挙においても、山下市長は公開討論会にも出席せず、こども未来館についても多くを語らず、争点そらしを進めてきました。ですから、市長が当選したからと言って、それでこども未来館建設が市民に承認されたとはいえないはずです。市民の同意を得ないままに、この臨時議会で予算が計上されてきたこと自体が問題なのです。
 「広さも過大であるから、6254㎡に削ってきた。建設費も抑えてきた。(だから建設を進めてもいいのだ)」という点もおかしな論理です。設計段階からいうと、8000㎡から7000㎡、そして今回の6254㎡と減ってきてはいますが、それでも児童センターの設置基準336.6㎡以上(大型児童センターは500㎡以上)の18倍以上(大型児童センターの12倍以上)という広さがあります。この過大な広さについてのまともな説明はいまだかつてありません。建設金額で言うと、今年度が4億8000万余、来年度が11億2000万余であり、それにデジタルコンテンツ1億4000万余を加えて、総額約18億弱という金額です。ラピオに新図書館を入れれば、このくらいの予算で新図書館建設ができるわけですから、丸々50億程度図書館の建設費が少なくてすむことになります。また、デジタルコンテンツについてですが、内容不明ですが、もしVRなどのソフトや機材を考えているのだとしたら、まさに日常的かつ地域にねざした児童センターの理念を無視した、客寄せパンダ・アミューズメント的施設であり、今まで批判してきた週末お出かけスポットを地で行くものに他ならないと考えます。
 どの「論理」も、今回の臨時議会でのこども未来館建設補正予算提出を正当化できるものではありませんでした。しかし市議会は、残念なことに、この問題あり過ぎのこども未来館建設予算を通してしまいました。しかしこの決定が、今後の市政そして市民生活にどんな禍根を残すことになるのか、それは歴史だけが証明するものであると言っておきたいと思います。
また、市民は今後の市政の動きからも目を離しませんし、今後の市議会の選挙においても今回の決定の事実を訴えていくことにもなると思います。
 なお蛇足にはなりますが、もし市議会に自浄作用がまだあるならば、現段階でもまだ、図書館建設設計とこども未来館建設設計における情報漏えい・隠ぺい疑惑調査についての百条委員会設置などは、やろうと思えばできるはずです。議会は市長や行政当局の監視役であるという任務も忘れてほしくはありません。