将来に禍根を残す臨時市議会でのこども未来館建設補正予算決定2019年04月09日 14:59

 8日臨時市議会において、こども未来館建設を補正予算に含めない修正案は、賛成6名で少数否決され、補正予算が通ってしまいました。しかし、この臨時市議会で出された論議を見てみると、とてもおかしな「論理」がまかり通ってしまっていると言わざるを得ません。
 まず、なぜこの時期4月に、当初予算から1か月もたっていない時期に、補正予算でこども未来館を建設するのか、まともな理由がありません。「『プレミアム商品券問題』で補正予算を組まなければならないので、(ついでに)こども未来館建設も補正予算を出した。」などという、「『おまけ』で予算計上」のような論理がまともに通用するはずもありません。
 「こども未来館建設と予定価格漏えい疑惑は別問題」という論理にも、根本的なところでいくつかの問題があります。まず、その前提となる「こども未来館建設は『市の政策として』やっているのだから、粛々と進める」という前提がおかしいということです。こども未来館建設は、市の第6次総合計画にも何もなく、『市長の意思で』提出されてきたものです。詳しくは経過について書いた過去のブログを見てほしいと思います。市の政策ではなく市長の案件として出されてきたのが、今回のラピオへのこども未来館建設計画です。
 また、「かりに第三者委員会調査で価格漏えいがはっきりしても、今回の件は『談合』には当たらないから、建設の決定が無効になることはない。だからこの案件は進めてもよいのだ。」という論理です。私たちが問題にしているのは、単に「法的に建設決定が無効になるかならないか」ということだけではありません。倫理的・道義的にも、漏えい疑惑の調査中で第三者委員会の結論が出る前に建設を進めてしまうことには大義がない、市民感情からしても到底納得できるものではないということです。そんな当たり前のことが、理解できないのでしょうか?
 「市長選挙で争点になり、現市長が当選したのだから、市民の同意を得ている」ということも、以前のブログで書いた通りおかしな論理です。私たちは以前から「住民投票はまさにこども未来館建設を進めるべきかどうかの1点で民意を問うものですが、市長選挙は様々な争点があるので、住民投票と同一には見なせない。」と主張してきました。しかしそれにもかかわらず、住民投票実施は否決されてしまいました。こども未来館建設が是か非かは、まだちゃんと市民に問われたわけではないのです。またそれに加え市長選挙においても、山下市長は公開討論会にも出席せず、こども未来館についても多くを語らず、争点そらしを進めてきました。ですから、市長が当選したからと言って、それでこども未来館建設が市民に承認されたとはいえないはずです。市民の同意を得ないままに、この臨時議会で予算が計上されてきたこと自体が問題なのです。
 「広さも過大であるから、6254㎡に削ってきた。建設費も抑えてきた。(だから建設を進めてもいいのだ)」という点もおかしな論理です。設計段階からいうと、8000㎡から7000㎡、そして今回の6254㎡と減ってきてはいますが、それでも児童センターの設置基準336.6㎡以上(大型児童センターは500㎡以上)の18倍以上(大型児童センターの12倍以上)という広さがあります。この過大な広さについてのまともな説明はいまだかつてありません。建設金額で言うと、今年度が4億8000万余、来年度が11億2000万余であり、それにデジタルコンテンツ1億4000万余を加えて、総額約18億弱という金額です。ラピオに新図書館を入れれば、このくらいの予算で新図書館建設ができるわけですから、丸々50億程度図書館の建設費が少なくてすむことになります。また、デジタルコンテンツについてですが、内容不明ですが、もしVRなどのソフトや機材を考えているのだとしたら、まさに日常的かつ地域にねざした児童センターの理念を無視した、客寄せパンダ・アミューズメント的施設であり、今まで批判してきた週末お出かけスポットを地で行くものに他ならないと考えます。
 どの「論理」も、今回の臨時議会でのこども未来館建設補正予算提出を正当化できるものではありませんでした。しかし市議会は、残念なことに、この問題あり過ぎのこども未来館建設予算を通してしまいました。しかしこの決定が、今後の市政そして市民生活にどんな禍根を残すことになるのか、それは歴史だけが証明するものであると言っておきたいと思います。
また、市民は今後の市政の動きからも目を離しませんし、今後の市議会の選挙においても今回の決定の事実を訴えていくことにもなると思います。
 なお蛇足にはなりますが、もし市議会に自浄作用がまだあるならば、現段階でもまだ、図書館建設設計とこども未来館建設設計における情報漏えい・隠ぺい疑惑調査についての百条委員会設置などは、やろうと思えばできるはずです。議会は市長や行政当局の監視役であるという任務も忘れてほしくはありません。



4月臨時市議会に唐突に出されたこども未来館建設予算の問題点2019年04月05日 16:49

「4月8日に臨時小牧市議会を招集し、こども未来館を整備する工事費予算を含む平成31年度一般会計補正予算の議案を上程する」内容の告示が4月1日に行われました。
 これについて、いくつか問題となる点を書きたいと思います。
 まず1点目は、こども未来館建設については、市民の同意を得ることなしに建設を強行しようと予算が計上されたという点です。これについては、以前2月にこのブログで以下のように書きました。「(2月)市議会の採決で決まったことは、『こども未来館が是か非かという住民投票はやらない。』ということだけです。別に『市民がこども未来館の建設にオッケーを出した』などという類のものではありません。そういう意味で、ラピオへのこども未来館建設はいいのか悪いのか、こども未来館の中身を問うことは、まだこれから続いていくものです。」と。私たちは以前から「住民投票はまさにこども未来館建設を進めるべきかどうかの1点で民意を問うものですが、市長選挙は様々な争点があるので、住民投票と同一には見なせない。」と主張してきました。しかしそれにもかかわらず、住民投票実施は否決されてしまいました。またそれに加え市長選挙においても、山下市長は公開討論会にも出席せず、こども未来館についても多くを語らず、争点そらしを進めてきました。市長が当選したからと言って、それでこども未来館建設が市民に了承されたものではないのです。
 2点目は、こども未来館の建築設計における情報漏えいに関する第三者委員会の調査結果が出る前に、建設を強行する予算が計上されたという点です。この第三者委員会の調査結果公表は、条例の改正により5月31日まで延長されました。こども未来館及び子育て支援センター建設設計関連において、株式会社IRAが市の予定価格の100%で受注していた問題が4件も明らかになる中、現在第三者委員会による情報漏えい調査が行われている最中であるわけです。ですから道義的にも、現在の段階で一方的に建築予算を計上し、事業を強行する姿勢は到底許容されません。少なくとも第三者委員会の結論が出るまで事業を凍結することは当然のはずです。第三者委員会の調査を見守り、検証し、市民の多数が納得できる方法で解決していく必要があります。
 3点目は、なぜ4月のこの時期、臨時議会でのこども未来館建築予算計上なのかという点です。年度当初の3月定例市議会が終わってから1ヶ月もたっていないのに、山下市長は定例市議会では、当初予算の中にこども未来館建設予算を出さずに、なぜこの時期4月の臨時市議会で補正予算を出してきたのでしょうか?ここ2年間は4月に臨時市議会は開かれていませんでしたし、それ以前の年度でも、通常4月の臨時議会は諸税の更新等形式的な議題のために開かれるのが常で、今回のように、こども未来館建設のような大型の補正予算を伴った臨時市議会など開かれたことはほぼありませんでした。では、なぜ今なのか?第三者委員会の調査結果は出ていないのですから、それが理由というはずもありません。国の補助金についても毎年名目も変わるぐらいですから、これが理由になろうはずもありません。ここからは推測の域を出ませんが、3月の当初予算でこども未来館建設を出してしまうと、テレビ・新聞各社などに報道されるので、できるだけこっそり知られないようにこども未来館建設を進めたいという思惑があるのではないかとさえ勘ぐってしまいたくなります。もしそうだとしたら、情けないことです。
 4点目は、こども未来館建設予算の内容についてです。まず、建設の延床面積についてですが、6253㎡とのことです。設計段階からいうと、8000㎡から7000㎡、そして今回と減ってきてはいますが、それでも児童センターの設置基準336.6㎡以上(大型児童センターは500㎡以上)の18倍以上(大型児童センターの12倍以上)という広さがあります。この過大な広さについてのまともな説明はいまだかつてありません。建設金額で言うと、今年度が4億8000万余、来年度が11億2000万余であり、それにデジタルコンテンツ1億4000万余を加えて、総額約18億弱という金額です。このデジタルコンテンツというのは内容不明ですが、もしVRなどのソフトや機材を考えているのだとしたら、まさに日常的かつ地域にねざした児童センターの理念を無視した、客寄せパンダ・アミューズメント的施設であり、今まで批判してきた週末お出かけスポットを地で行くものに他ならないと考えます。そして、建築費だけでなく維持管理費も、子や孫の代まで続くことになります。
 以上のようにいくつもの問題を抱えながらも、すべてごり押しで通そうとする、これまで山下市長のやり方が今回も出てきています。しかし、いつもそれで済むわけではない。市民はしっかり見て、考えて、行動しますよ。



平成31年度小牧市当初予算と新図書館・こども未来館計画見直し請願について2019年03月08日 13:21

 2月14日、平成31年度小牧市当初予算が市議会に提出されました。またそれに合わせ翌日、小牧の図書館を考える会等から、「新図書館建設計画見直し請願」が、小牧市政をかえる会等から「こども未来館建設計画見直し請願」が、それぞれ市議会に提出されました。

 以下、「新図書館建設計画見直し請願」の内容に触れながら、予算案の問題点を明らかにしておきたいと思います。

 まず、「新図書館建設計画見直し請願」請願の請願内容は以下の3点です。

 1点目は、新図書館の設計において、市の予定価格と業者の落札価格が、ほぼ同一の99.99%であり、予定価格がもれていたのではないかという疑惑があるので、市議会として特別委員会等を設けるなりの方法をもって、調べてほしいという点です。

 2点目は、少なくともその疑惑が解明されるまで、建設はストップしてほしいという点です。これには、当然出されている建設予算も認めないでほしいということも含まれています。

 3点目は、新図書館建設審議会の答申にあった通り、しっかり市民の意見を聴いて新図書館建設を進めてほしいという点です。

以上3点です。

 各々について、少し詳しく書きたいと思います。 まず、「予定価格の漏えい疑惑の調査について」です。

  新図書館の建築設計では、㈱新居千秋都市建築設計が1億2千9百60万円で、特命随意契約受注をしています。税抜きで言うと、その契約は1億2千1万円の市の予定価格に対し、㈱新居千秋都市建築設計は1億2千万円の見積での契約です。小牧市の予定価格とピッタリ1万円違いであり、落札率99.99%の驚くべき契約になっています。

 市の予定価格と業者の落札価格が、宝くじ並みの確率で一致していると言えます。

 また、こども未来館・子育て支援センター建設設計関連において、株式会社IRAが、市の予定価格の100%で受注していた問題についても、現在第3者委員会で調査中であるわけですから、これとも全く無関係だと言えるはずはないと考えます。

 「小牧の図書館を考える会」としては、昨年の10月17日にも「こども未来館設計等委託に係る第三者調査に関する要望書」を提出し、その中で、新図書館についても、「新図書館設計委託業務についても調査すること」を要望していました。しかし残念なことに、新図書館建設設計についての第3者委員会調査は、対象からはずされたまま、新図書館建設が進められようとしています。新図書館についても予定価格の漏えい疑惑は深まるばかりだと言わなければなりません。

 この問題については、市議会としても特別委員会や百条委員会といった委員会を設置するなどして、議会の責任で調査をしていく必要があると考えます。早急の調査が必要です。

 次に「新図書館建設のストップ」に関わる問題です。

 新図書館についても予定価格の漏えい疑惑は深まるまま、今年度予算で初めて新図書館建設の予算が計上されています。「新図書館については、平成 32 年度末の開館に向け、建設工事や図書館システムの構築、拡大する図書館サービスの準備を行う」として、新図書館建設予算が1億3487万円(継続費[平成31・32年度]35億18万円)、新図書館開館準備予算が4220万円計上、となっています。

 またそれに関連して、「新図書館の建設にあわせ、地下に市営駐車場を建設する」として、3億6842万円 (継続費[平成31・32年度9億5082万円)の地下駐車場予算が計上されています。

 この地下駐車場予算自体、駐車場1台当たり1500万円というとんでもないものですが、その内容はさておいても、新図書館についても予定価格の漏えい疑惑は深まる中で、こうした新図書館建設強行は、許されるものではないと考えます。

 少なくとも疑惑が解明されるまでは、新図書館建設はストップし、建設予算もつけるべきではないと考えます。

 第3に。「市民の意見を聴くことについて」です。

 今までの建築設計の経緯を見ると、昨年2月の新図書館建設審議会の答申では、「事業の推進にあたっては、さらに広く市民の声を聴きながら進めていただくことを期待するものである。」とされていました。しかし、市民の意向を聴くためのアンケートなどは、現在まで実施されてきませんでした。

 新図書館審議会においては、新図書館の建設場所・運営の仕方等に関しては様々な意見があり、答申では多数意見とともに少数意見も両論併記されていました。

 また、審議会答申後に平和堂撤退が明確になるという、新図書館建設に関する重大な情勢の変化があったにもかかわらず、市民の意見は十分聴かれてきたとは言えません。また、市議会も建築情勢の変化に十分対応できていなかったと考えます。

 現在の時点で、''改めて市民の意見を聴きながら建設を進めていく必 要がある''と考えます。方法様々あります。市議会として考えるべきではないでしょうか?

 

 その他、小牧市当初予算に関わる大きな問題点を挙げてみたいと思います。

  (仮称)こども未来館建設費用については、予定価格情報の漏えい・隠ぺいに関する第3者委員会の答申が出ていないことも影響しているのか、予算計上はされませんでした

 これ自体は当然のことだと考えられますが、6月市議会あたりが一番の焦点になる可能性があるので、見守っていく必要があると思います。


 また、「インターチェンジの設置に向けた検討を進めるため、周 辺現況調査及び将来交通量推計業務を行」うとして、(仮称)小牧スマートIC整備事業に2000万円を計上しています。

 小牧ハイウェイオアシス計画については、

 ①スマートICができるなら尚更のこと周辺道路整備を行い、周辺道路の渋滞が起きないようにさせる

 ②また、駐車場はしっかり整備させ、「市民四季の森」利用者等に不便なことがないようにさせる。

 ③さらに、市コミュニティバスの路線延長・増発など必要な交通網整備を行うようにさせる。

 ④そして、あくまでも民間の計画である以上、必要以上に市が援助を行わないようにさせることが必要であると考えます。


 予算案には、「(仮称)小牧市農業公園の事業用地の地質を調査するとともに、基本計画・基本設計などを進め」るとして、(仮称)農業公園整備事業に3420万円を予算も計上されています。

 小牧市農業公園については、

 ①貸し菜園・農業体験などのニーズには応えつつ、必要以上には規模を広げさせない

 ②また維持管理に必要以上にお金をかけないようにさせる。

 という点が必要だと考えます。

 

 最後に、小牧市は今後の歳入減などにも鑑み、「多極ネットワーク型コンパクトシティ」を標榜しています。これは、一極集中をせず、コンパクトな都市づくりをしていこうという方針のはずです。

 児童館などの子育て支援施設も図書館の支所なども、各地域ごとに充実させていくのが、本来のあり方だと考えられます。また、「こども未来館」のような中央箱モノづくりの行政は、過去の遺物だという批判は免れません。

 将来を見据えた都市づくりをやっていかなければいけません。

こども未来館住民投票条例制定にあたっての12月議会での論点2018年11月27日 07:38

小牧市12月市議会でこども未来館住民投票条例について意見陳述がなされ、採決が行われます。日程は以下の通りです。

12月11日(火) こども未来館住民投票条例案市長提案

12月11日(火) 本会議での意見陳述

12月19日(水) 文教建設委員会での意見陳述

12月21日(金) 本会議こども未来館住民投票条例案採決

 

 そこで、こども未来館住民投票条例制定で問題になることを挙げてみました。

 まず第一は、住民投票を求める理由言い換えれば、お金をかけてまで住民投票を実施する意味についてです。

 まず、こども未来館建設設計にあたっては、これから順番に書いていくように多くの問題点があると考えられます。その問題点は、多岐にわたり、また非常に根深いものです。ですから、このまま何も問われないまま建設設計が進んでしまっては民主主義は死んでしまう。お金をかけてもゴーなのかストップなのかを問う必要がある、と考えます。 ですがここで大事なことは、問題点はあると思いますが、こども未来館建設について、ゴーか、ストップかの意思を決めるのは市民自身だということです。今必要なのは、一回立ち止まってみることだと思います。そして、住民投票の結果次第で、こども未来館建設が、ゴーなのかストップなのか、進むべき道が決まるべきであると思います。

 また、当然住民投票となれば、予算措置を伴うことなので、できるかぎり歳出費用の少ない方法を考え、市長選挙、市会議員補欠選挙との同日投票で、住民投票を実施することが目指されているのです。

第二に、現在求めている条例制定の直接請求の意味についてです。

 この請求は、地方自治法第74条「条例の制定・改廃請求」に基づき、住民投票条例の制定を求める直接請求です。 言うまでもなく、現行の地方自治制度は、地方公共団体の住民によって選挙された代表者により行政が行われる間接民主制を原則としています。しかし、間接民主制による地方自治行政の運営は、場合によっては住民の意思から遊離して又は住民の意思に反して行われることも考えられるので、このような間接民主制の欠陥を補完し、住民自治の徹底を期するために、直接民主制に基づく直接請求の権利が住民に認められているわけです。

 従って、市長及び市議会議員の方々が、選挙により信任を受けていることをもって、条例制定請求を退ける理由にはならないはずです。施政者の長たる市長も市議会議員の方々も、この民主主義の精神にのっとり、直接求権を最大限尊重する必要があると考えます。

 また、本直接請求著名の10015筆(有効署名数9241筆)という数は、条例の制定・改廃請求成立の要件である有権者の50分の1=2411筆以上の、約4倍という数です。さらに、以前問われた図書館建設の住民投票(署名数6003筆うち有効署名5713筆)と比較しても1.6倍以上という数です。これは非常に多くの市民の意思であり、最大限尊重されなければいけないと考えます。

 

 では、ここからは、現在のこども未来館建設設計に当たって、問題となると考えている点について書いていこうと思います。

 まず第一の問題点は、ここまでの建設設計に当たって、「市民の意見をしっかり聴いてこなかった」という点があげられます。市民の意思がないがしろにされてきたという点です。

 この条例を求める直接請求署名を行う中で、市民の中からは、「どんなものかよく知らない。」「え?そんなの造るのですか?」という声が多く聞かれました。多くの市民が、どんなこども未来館が建設されるのかわからないまま、計画が進んでいる現実があります。まず、これは大きな問題です。

 また、計画を内容を知っている市民からは、「ちゃんと市民の声を聴いていない」という怒りの声が上がっています。 こども未来館に関するパブリックコメントは69件出されましたが、その全てが否定的意見でした。賛成意見は1件もなかったわけです。その中には、「巨大遊具はいらない。」「アミューズメント施設はやめてほしい。」「A街区の新図書館建設も中止して、ラピオなどを活用してほしい。」という声も当然多くありました。

 にもかかわらず、そういう声が無視されて建設が進められようとしています。これでは何のためのパブリックコメントであったのかわかりません。民主主義をこわしてしまうことになると考えます。市民の意見を聞くということなら、まずパブリックコメントの内容がどのように施策に生かされているのか、それを説明する必要があると考えます。

 また、市の広報などで「ワークショップを通して意見を聞いている」という宣伝があることについてです。ワークショップというのはそもそも一般的には「体験型講座」を指しています。遊びのような活動を行ったり、制作や表現活動をしてそれを披露したり、ディスカッションをしながら思考力・表現力などのスキルを伸ばす場所という意味です。双方向のやりとりはあるにしろ、パブリックコメントのように市が公的に市民の意見を聞くものとは性格が違うもののはずです。実際、図書館問題のワークショップに参加した人からは、「設計図段階なのに建築見本を見せて、意見をきくというより建築見本のおひろめの要素が強いと感じた。」という感想もありました。

 それから今回多かった、特に中高生を対象としたワークショップというものは、体験しながら学習する・勉強するという要素が強いものです。ですから一般的に、ワークショップを開くことが市民の意見を聞くことにはなるわけではないと思います。ましてや、パブリックコメントと同列におくのは、どうやっても無理があります。

 そして今回、その設計段階ワークショップですら、中学生を中心に各回平均15名程度が参加したものにとどまっています。有識者と言われている人のワークショップは各回8名程度の参加です。これで市民の声を聴いているというのは、どう考えても無理です。

 ですから、「こういう現状は見逃すことはできません。」「ここで一度立ち止まって、ゴーなのかストップなのか市民の意思を聴く必要がある。」「是非を問う住民投票を実施してほしい。」という声があがっているのです。

 次に、建設・設計にあたっての問題点の二つ目、財政に関わる問題です。

 まず、こども未来館建設設計は、特命随意契約という形で進んでいます。もともと、自治体の入札にあたっては、一般競争入札が原則であり、随意契約は特例中の特例のはずです。特命随意契約では、競争入札がないため、今回のこども未来館建設費は、22億円という異常に高い契約額になっているという問題があります。

 また、単純に考えても、仮にラピオ内に新図書館を入れるとすれば、A街区への新図書館建設費50億円、年間維持費約4億円がかからないですむということになります。

 これから予想される人口減・歳入減の中で、財政のつけをこども・孫の世代に背負わしてはいけません。本当に必要なものを考えて建設を行っていく必要があると思います。

 三つ目の問題点は、建設設計の経過に関わる問題です。

 小牧市こども未来館の設計業務等で、小牧市の予定価格と業者(ア-ル・アイ・エー)の見積額が1円まで同じということが4件もあることがわかっています。予定価格が漏れていた、もしくは談合があったのではないかという疑惑が広がっているわけです。

  「一致する確率は0ではない。」と言われても、それを信じる方が普通ではないと思います。業者に予定価格の情報漏えいがなければ、入札価格が二度も三度も100%一致することなど普通はあり得ません。小牧市の民主主義が問われている疑惑です。行政の最高責任者としての山下市長の責任は重大です。

 この件について、市長が議会で謝罪し、第三者委員会で調査するということになったのは、至極当然のことと言えるでしょう。

 またそれと関わって、A氏の備忘録のコピーが、市議会内外で明らかにされています。その文書によれば、市長は予定価格の情報漏えいについて、「しかし職員がしゃべっていない、業者が聞いていないと言えばそれまで。地公法の問題であり、警察が動くこともない。」と語ったとされています。それをそのまま正しいと受け止めれば、予定価格流出について、市長が意図的に隠ぺいを行ってきたということになります。言ったことがセリフまで再現されているものを、ただの怪文書で片づけられるのでしょうか?

 市長はそれを否定しましたが、情報漏えいの事実について組織的に隠ぺいを行ってきたという疑惑は、それで晴れたわけではありません。それを含めて、真相の全てを究明することが必要です。それが、民主主義の最低ラインです。

 この疑惑究明問題は、12月市議会の重要課題とならなければなりません。そして、この疑惑の真相が明らかになるまで、こども未来館建設を先に進めてはいけないと、考えます。

 問題点の四つ目は、建設設計の理念に関わる問題です。

 子ども向けの施設、児童厚生施設はどうあるべきなのかという観点の話です。 まず指摘しなければならないのが、現在のこども未来館計画では、巨大遊具を入れ、巨大シンボルツリーをつくるといったように、非常にアミューズメント的施設づくりの方向に進んできてしまっているという点です。

 なぜこのような方向に進んできているのか?考えられることは、「設置基準から言うと、ラピオという建物は、児童センターが一つや二つではなく、約20個分も入る広さがある」ということに原因があると考えます。児童センターが20個も入る、もともと無理のある広さなのです。そこにたった一つの児童センターを入れようとしているから、広すぎて床が余り過ぎ、無理に無理を重ねているから、床や天井を打ち抜いたり、巨大遊具をいれたりというアミューズメント的施設になってしまっているのが現状だと考えられます。

 そして市は、今回のこども未来館建設は、子育て支援センターを除いては、「児童センターの立て直しだ。」と言っています。大型児童館ではなく児童センターだということは、つまり、この建物には、各地域の小型児童館を指導したり連絡調整したりまとめたりする機能はないということです。それは、大型児童館がすることです。

 では、本来の児童館・児童センターの理念はどのようなものなのでしょうか。児童センターは、本来、地域の小型児童館と根本的な違いはないということです。あえて簡単に言うと、小型児童館より少し広くて、体力増強なども考え、中高生の利用も考慮したような児童館だということだけです。

 そして、児童館・児童センターには、こういうものにしなさいというガイドラインがあります。それを見ると、「長期的・継続的に日常生活を支援する」とか「日常的に子どもの居場所となり、地域の拠点となる。」ということが繰り返し書かれています。

 これは、言い直すと、「児童館や児童センターは、地域にあって、毎日使えるところになければいけない。」「週末お出かけスポットにしてはいけない。」「アトラクションのあるようなアミューズメント的施設ではない。」という戒めが書いてあるのだと思います。住んでいる地域からはなれた施設に、休日などにわざわざ出かけ、たまに巨大遊具を利用するというのでは、本来の児童センターの趣旨から外れたものになってしまうということです。

 「地域の拠点・子どもの居場所になり、その中で日常的にこどもが成長する」ところに、児童館・児童センターの意味があるということです。また、家に帰れない、家に帰っても居場所のない子どもたちの生活を支援する機能も必要だということです。身近なところにあって、子どもたちが日常的に利用しやすい・日常的に利用できるものでなければならないということです。決して巨大遊具を入れろなどとはどこにも書いてありません。

 またその趣旨からいうと、児童館等の児童厚生施設や子育て支援施設も図書館支所なども各地域ごとに充実させていくのが、本来のあり方ということです。ところが、岩崎中学校区、光ヶ丘中学校区には児童館がありません。地域の小型児童館ですら各中学校区にないのに、なぜ中央に巨大遊具の箱モノを作る計画なのでしょうか?優先順位を間違い、本末転倒していると思います。

 では、なぜそのような、本来の児童センターの理念からも大きくかけ離れ、また設置基準から言っても広すぎる、初めから無理のあるような計画が出てきたのでしょうか?もともとの当初予算にも、第6次小牧市総合計画にもなかったのですから、それを言い出したのは、市長さんだと思います。なぜ市長さんがそんなことを言い出したのか?それは、本人でないとわかりません。ただ、「図書館をラピオに入れさせないための市長の思いつきだ」と批判されても仕方のないことだと思います。

 とにかく、現在はまだ設計の段階ですから、今後はまだいろいろな道が残されています。そして、しっかり市民の声を聴き、是非を決める住民投票が実施されれば、自ずと今後の道は決まってくると思います。

 ここまでいろいろ問題点をあげてきましたが、その是非を決めるのは市民自身です。

 そして全体を通して言うと、今回のこども未来館建設設計に関しては、小牧市の民主主義が問われていることなのだと考えています。

 ですから12月市議会では、すみやかにこの住民投票条例を採択して、住民投票を実施してほしいと思います。

条例制定請求など直接請求權の持つ意味、民主主義の根っこは何か?2018年11月14日 23:06

 市議会の議員さんの中には、前回の新図書館の住民投票直接請求の時もそうでしたが、「市長も市議会議員も、選挙で信任されているのだから、どんな風に議会で決定したり、案件を進めても問題ない。」という人がいるそうです。しかしそれで本当によいのでしょうか?

 そういう人は残念ながら、民主主義の根本を理解していないと言わざるを得ません。また、地方自治における住民の権利についても無理解だと言わざるを得ません。現在の政治は間接民主制(代議員制)が中心ですが、それだけが民主制のすべてのあり方ではありません。浦安市のホームページには次のように書いてあります。

 「国政と同様に地方自治においても、地方公共団体の住民によって選挙された代表者により行政が行われる間接民主制が原則となっています。しかし、その運営が住民の意思に反して行われようとした場合に、間接民主制の欠点を補完し、住民自治の理想を実現するために、住民に直接自己の意思を表示する機会を与えるのが直接請求制度です。」(浦安市ホームページより引用)

 間接民主制の欠点を補うために、地方自治における住民の権利(地方自治における直接民主制と言ってもいいでしょう)が保障されているのです。それが地方自治における直接請求制度です。念のため、直接民主制の具体化としては、その他にも、憲法改正における国民投票の制度や最高裁判所裁判官の国民審査などがあります。

 直接民主制は、制度としても現在の政治に取り入れられ、保障されているのです。言うまでもなく、リコールやレファレンダムと並んで、今回の条例制定請求権は、直接請求権の重要な一つの柱です。これを軽んじるような冒頭の発言は、民主主義と地方自治における住民の権利について、根本を理解していない恥ずべき発言と言わなければならないでしょう。

 ですから、議員さんは、この市民の意思というものを、しっかり重く受け止める必要があります。それこそが民主主義というものであるはずです。


 単刀直入に言えば、1万筆を超える署名が集まっているのだから、その意思を重く受け止め、すみやかに住民投票条例を採択し、住民投票を実施してくださいということです。