将来に禍根を残す臨時市議会でのこども未来館建設補正予算決定2019年04月09日 14:59

 8日臨時市議会において、こども未来館建設を補正予算に含めない修正案は、賛成6名で少数否決され、補正予算が通ってしまいました。しかし、この臨時市議会で出された論議を見てみると、とてもおかしな「論理」がまかり通ってしまっていると言わざるを得ません。
 まず、なぜこの時期4月に、当初予算から1か月もたっていない時期に、補正予算でこども未来館を建設するのか、まともな理由がありません。「『プレミアム商品券問題』で補正予算を組まなければならないので、(ついでに)こども未来館建設も補正予算を出した。」などという、「『おまけ』で予算計上」のような論理がまともに通用するはずもありません。
 「こども未来館建設と予定価格漏えい疑惑は別問題」という論理にも、根本的なところでいくつかの問題があります。まず、その前提となる「こども未来館建設は『市の政策として』やっているのだから、粛々と進める」という前提がおかしいということです。こども未来館建設は、市の第6次総合計画にも何もなく、『市長の意思で』提出されてきたものです。詳しくは経過について書いた過去のブログを見てほしいと思います。市の政策ではなく市長の案件として出されてきたのが、今回のラピオへのこども未来館建設計画です。
 また、「かりに第三者委員会調査で価格漏えいがはっきりしても、今回の件は『談合』には当たらないから、建設の決定が無効になることはない。だからこの案件は進めてもよいのだ。」という論理です。私たちが問題にしているのは、単に「法的に建設決定が無効になるかならないか」ということだけではありません。倫理的・道義的にも、漏えい疑惑の調査中で第三者委員会の結論が出る前に建設を進めてしまうことには大義がない、市民感情からしても到底納得できるものではないということです。そんな当たり前のことが、理解できないのでしょうか?
 「市長選挙で争点になり、現市長が当選したのだから、市民の同意を得ている」ということも、以前のブログで書いた通りおかしな論理です。私たちは以前から「住民投票はまさにこども未来館建設を進めるべきかどうかの1点で民意を問うものですが、市長選挙は様々な争点があるので、住民投票と同一には見なせない。」と主張してきました。しかしそれにもかかわらず、住民投票実施は否決されてしまいました。こども未来館建設が是か非かは、まだちゃんと市民に問われたわけではないのです。またそれに加え市長選挙においても、山下市長は公開討論会にも出席せず、こども未来館についても多くを語らず、争点そらしを進めてきました。ですから、市長が当選したからと言って、それでこども未来館建設が市民に承認されたとはいえないはずです。市民の同意を得ないままに、この臨時議会で予算が計上されてきたこと自体が問題なのです。
 「広さも過大であるから、6254㎡に削ってきた。建設費も抑えてきた。(だから建設を進めてもいいのだ)」という点もおかしな論理です。設計段階からいうと、8000㎡から7000㎡、そして今回の6254㎡と減ってきてはいますが、それでも児童センターの設置基準336.6㎡以上(大型児童センターは500㎡以上)の18倍以上(大型児童センターの12倍以上)という広さがあります。この過大な広さについてのまともな説明はいまだかつてありません。建設金額で言うと、今年度が4億8000万余、来年度が11億2000万余であり、それにデジタルコンテンツ1億4000万余を加えて、総額約18億弱という金額です。ラピオに新図書館を入れれば、このくらいの予算で新図書館建設ができるわけですから、丸々50億程度図書館の建設費が少なくてすむことになります。また、デジタルコンテンツについてですが、内容不明ですが、もしVRなどのソフトや機材を考えているのだとしたら、まさに日常的かつ地域にねざした児童センターの理念を無視した、客寄せパンダ・アミューズメント的施設であり、今まで批判してきた週末お出かけスポットを地で行くものに他ならないと考えます。
 どの「論理」も、今回の臨時議会でのこども未来館建設補正予算提出を正当化できるものではありませんでした。しかし市議会は、残念なことに、この問題あり過ぎのこども未来館建設予算を通してしまいました。しかしこの決定が、今後の市政そして市民生活にどんな禍根を残すことになるのか、それは歴史だけが証明するものであると言っておきたいと思います。
また、市民は今後の市政の動きからも目を離しませんし、今後の市議会の選挙においても今回の決定の事実を訴えていくことにもなると思います。
 なお蛇足にはなりますが、もし市議会に自浄作用がまだあるならば、現段階でもまだ、図書館建設設計とこども未来館建設設計における情報漏えい・隠ぺい疑惑調査についての百条委員会設置などは、やろうと思えばできるはずです。議会は市長や行政当局の監視役であるという任務も忘れてほしくはありません。



4月臨時市議会に唐突に出されたこども未来館建設予算の問題点2019年04月05日 16:49

「4月8日に臨時小牧市議会を招集し、こども未来館を整備する工事費予算を含む平成31年度一般会計補正予算の議案を上程する」内容の告示が4月1日に行われました。
 これについて、いくつか問題となる点を書きたいと思います。
 まず1点目は、こども未来館建設については、市民の同意を得ることなしに建設を強行しようと予算が計上されたという点です。これについては、以前2月にこのブログで以下のように書きました。「(2月)市議会の採決で決まったことは、『こども未来館が是か非かという住民投票はやらない。』ということだけです。別に『市民がこども未来館の建設にオッケーを出した』などという類のものではありません。そういう意味で、ラピオへのこども未来館建設はいいのか悪いのか、こども未来館の中身を問うことは、まだこれから続いていくものです。」と。私たちは以前から「住民投票はまさにこども未来館建設を進めるべきかどうかの1点で民意を問うものですが、市長選挙は様々な争点があるので、住民投票と同一には見なせない。」と主張してきました。しかしそれにもかかわらず、住民投票実施は否決されてしまいました。またそれに加え市長選挙においても、山下市長は公開討論会にも出席せず、こども未来館についても多くを語らず、争点そらしを進めてきました。市長が当選したからと言って、それでこども未来館建設が市民に了承されたものではないのです。
 2点目は、こども未来館の建築設計における情報漏えいに関する第三者委員会の調査結果が出る前に、建設を強行する予算が計上されたという点です。この第三者委員会の調査結果公表は、条例の改正により5月31日まで延長されました。こども未来館及び子育て支援センター建設設計関連において、株式会社IRAが市の予定価格の100%で受注していた問題が4件も明らかになる中、現在第三者委員会による情報漏えい調査が行われている最中であるわけです。ですから道義的にも、現在の段階で一方的に建築予算を計上し、事業を強行する姿勢は到底許容されません。少なくとも第三者委員会の結論が出るまで事業を凍結することは当然のはずです。第三者委員会の調査を見守り、検証し、市民の多数が納得できる方法で解決していく必要があります。
 3点目は、なぜ4月のこの時期、臨時議会でのこども未来館建築予算計上なのかという点です。年度当初の3月定例市議会が終わってから1ヶ月もたっていないのに、山下市長は定例市議会では、当初予算の中にこども未来館建設予算を出さずに、なぜこの時期4月の臨時市議会で補正予算を出してきたのでしょうか?ここ2年間は4月に臨時市議会は開かれていませんでしたし、それ以前の年度でも、通常4月の臨時議会は諸税の更新等形式的な議題のために開かれるのが常で、今回のように、こども未来館建設のような大型の補正予算を伴った臨時市議会など開かれたことはほぼありませんでした。では、なぜ今なのか?第三者委員会の調査結果は出ていないのですから、それが理由というはずもありません。国の補助金についても毎年名目も変わるぐらいですから、これが理由になろうはずもありません。ここからは推測の域を出ませんが、3月の当初予算でこども未来館建設を出してしまうと、テレビ・新聞各社などに報道されるので、できるだけこっそり知られないようにこども未来館建設を進めたいという思惑があるのではないかとさえ勘ぐってしまいたくなります。もしそうだとしたら、情けないことです。
 4点目は、こども未来館建設予算の内容についてです。まず、建設の延床面積についてですが、6253㎡とのことです。設計段階からいうと、8000㎡から7000㎡、そして今回と減ってきてはいますが、それでも児童センターの設置基準336.6㎡以上(大型児童センターは500㎡以上)の18倍以上(大型児童センターの12倍以上)という広さがあります。この過大な広さについてのまともな説明はいまだかつてありません。建設金額で言うと、今年度が4億8000万余、来年度が11億2000万余であり、それにデジタルコンテンツ1億4000万余を加えて、総額約18億弱という金額です。このデジタルコンテンツというのは内容不明ですが、もしVRなどのソフトや機材を考えているのだとしたら、まさに日常的かつ地域にねざした児童センターの理念を無視した、客寄せパンダ・アミューズメント的施設であり、今まで批判してきた週末お出かけスポットを地で行くものに他ならないと考えます。そして、建築費だけでなく維持管理費も、子や孫の代まで続くことになります。
 以上のようにいくつもの問題を抱えながらも、すべてごり押しで通そうとする、これまで山下市長のやり方が今回も出てきています。しかし、いつもそれで済むわけではない。市民はしっかり見て、考えて、行動しますよ。



平成31年度小牧市当初予算と新図書館・こども未来館計画見直し請願について2019年03月08日 13:21

 2月14日、平成31年度小牧市当初予算が市議会に提出されました。またそれに合わせ翌日、小牧の図書館を考える会等から、「新図書館建設計画見直し請願」が、小牧市政をかえる会等から「こども未来館建設計画見直し請願」が、それぞれ市議会に提出されました。

 以下、「新図書館建設計画見直し請願」の内容に触れながら、予算案の問題点を明らかにしておきたいと思います。

 まず、「新図書館建設計画見直し請願」請願の請願内容は以下の3点です。

 1点目は、新図書館の設計において、市の予定価格と業者の落札価格が、ほぼ同一の99.99%であり、予定価格がもれていたのではないかという疑惑があるので、市議会として特別委員会等を設けるなりの方法をもって、調べてほしいという点です。

 2点目は、少なくともその疑惑が解明されるまで、建設はストップしてほしいという点です。これには、当然出されている建設予算も認めないでほしいということも含まれています。

 3点目は、新図書館建設審議会の答申にあった通り、しっかり市民の意見を聴いて新図書館建設を進めてほしいという点です。

以上3点です。

 各々について、少し詳しく書きたいと思います。 まず、「予定価格の漏えい疑惑の調査について」です。

  新図書館の建築設計では、㈱新居千秋都市建築設計が1億2千9百60万円で、特命随意契約受注をしています。税抜きで言うと、その契約は1億2千1万円の市の予定価格に対し、㈱新居千秋都市建築設計は1億2千万円の見積での契約です。小牧市の予定価格とピッタリ1万円違いであり、落札率99.99%の驚くべき契約になっています。

 市の予定価格と業者の落札価格が、宝くじ並みの確率で一致していると言えます。

 また、こども未来館・子育て支援センター建設設計関連において、株式会社IRAが、市の予定価格の100%で受注していた問題についても、現在第3者委員会で調査中であるわけですから、これとも全く無関係だと言えるはずはないと考えます。

 「小牧の図書館を考える会」としては、昨年の10月17日にも「こども未来館設計等委託に係る第三者調査に関する要望書」を提出し、その中で、新図書館についても、「新図書館設計委託業務についても調査すること」を要望していました。しかし残念なことに、新図書館建設設計についての第3者委員会調査は、対象からはずされたまま、新図書館建設が進められようとしています。新図書館についても予定価格の漏えい疑惑は深まるばかりだと言わなければなりません。

 この問題については、市議会としても特別委員会や百条委員会といった委員会を設置するなどして、議会の責任で調査をしていく必要があると考えます。早急の調査が必要です。

 次に「新図書館建設のストップ」に関わる問題です。

 新図書館についても予定価格の漏えい疑惑は深まるまま、今年度予算で初めて新図書館建設の予算が計上されています。「新図書館については、平成 32 年度末の開館に向け、建設工事や図書館システムの構築、拡大する図書館サービスの準備を行う」として、新図書館建設予算が1億3487万円(継続費[平成31・32年度]35億18万円)、新図書館開館準備予算が4220万円計上、となっています。

 またそれに関連して、「新図書館の建設にあわせ、地下に市営駐車場を建設する」として、3億6842万円 (継続費[平成31・32年度9億5082万円)の地下駐車場予算が計上されています。

 この地下駐車場予算自体、駐車場1台当たり1500万円というとんでもないものですが、その内容はさておいても、新図書館についても予定価格の漏えい疑惑は深まる中で、こうした新図書館建設強行は、許されるものではないと考えます。

 少なくとも疑惑が解明されるまでは、新図書館建設はストップし、建設予算もつけるべきではないと考えます。

 第3に。「市民の意見を聴くことについて」です。

 今までの建築設計の経緯を見ると、昨年2月の新図書館建設審議会の答申では、「事業の推進にあたっては、さらに広く市民の声を聴きながら進めていただくことを期待するものである。」とされていました。しかし、市民の意向を聴くためのアンケートなどは、現在まで実施されてきませんでした。

 新図書館審議会においては、新図書館の建設場所・運営の仕方等に関しては様々な意見があり、答申では多数意見とともに少数意見も両論併記されていました。

 また、審議会答申後に平和堂撤退が明確になるという、新図書館建設に関する重大な情勢の変化があったにもかかわらず、市民の意見は十分聴かれてきたとは言えません。また、市議会も建築情勢の変化に十分対応できていなかったと考えます。

 現在の時点で、''改めて市民の意見を聴きながら建設を進めていく必 要がある''と考えます。方法様々あります。市議会として考えるべきではないでしょうか?

 

 その他、小牧市当初予算に関わる大きな問題点を挙げてみたいと思います。

  (仮称)こども未来館建設費用については、予定価格情報の漏えい・隠ぺいに関する第3者委員会の答申が出ていないことも影響しているのか、予算計上はされませんでした

 これ自体は当然のことだと考えられますが、6月市議会あたりが一番の焦点になる可能性があるので、見守っていく必要があると思います。


 また、「インターチェンジの設置に向けた検討を進めるため、周 辺現況調査及び将来交通量推計業務を行」うとして、(仮称)小牧スマートIC整備事業に2000万円を計上しています。

 小牧ハイウェイオアシス計画については、

 ①スマートICができるなら尚更のこと周辺道路整備を行い、周辺道路の渋滞が起きないようにさせる

 ②また、駐車場はしっかり整備させ、「市民四季の森」利用者等に不便なことがないようにさせる。

 ③さらに、市コミュニティバスの路線延長・増発など必要な交通網整備を行うようにさせる。

 ④そして、あくまでも民間の計画である以上、必要以上に市が援助を行わないようにさせることが必要であると考えます。


 予算案には、「(仮称)小牧市農業公園の事業用地の地質を調査するとともに、基本計画・基本設計などを進め」るとして、(仮称)農業公園整備事業に3420万円を予算も計上されています。

 小牧市農業公園については、

 ①貸し菜園・農業体験などのニーズには応えつつ、必要以上には規模を広げさせない

 ②また維持管理に必要以上にお金をかけないようにさせる。

 という点が必要だと考えます。

 

 最後に、小牧市は今後の歳入減などにも鑑み、「多極ネットワーク型コンパクトシティ」を標榜しています。これは、一極集中をせず、コンパクトな都市づくりをしていこうという方針のはずです。

 児童館などの子育て支援施設も図書館の支所なども、各地域ごとに充実させていくのが、本来のあり方だと考えられます。また、「こども未来館」のような中央箱モノづくりの行政は、過去の遺物だという批判は免れません。

 将来を見据えた都市づくりをやっていかなければいけません。

こども未来館住民投票条例は、本会議で賛成少数で否決!2018年12月21日 15:50

 小牧市こども未来館住民投票条例は、21日市議会本会議で賛成少数で否決されました。

 まず、住民投票条例の請求代表者の一人として、こども未来館住民投票の直接請求運動に賛成し、署名をしていただいた、多くの市民の皆さんに、感謝します。

 しかし、少数否決という結果になり、およそ10000人という非常に多くの市民の意思、民意をくみ取ってもらえず、非常に残念であり悲しい思いです。

 市議会で賛成してくれたのは、共産党の安江・佐藤大・稲垣美の3議員と、無所属の西尾・船引・小川・小澤4議員、そして、政道クラブの野々川・谷田貝両議員でした。

 それ以外の、牧政会(自民党の一部)の10名(議長を除く)と公明党の3名、及び政道クラブの熊澤議員は反対に回るという結果でした。議長の玉井議員を除いて、賛成9反対14、これが、小牧市議会における民主主義の成熟度です。

 地方自治法、小牧市自治基本条例に基づく、直接請求権の行使であるこの住民投票条例制定請求は、議会制民主主義を補完する直接民主制の具体化であり、市民参加の具体化でもありました。そういう意味で問われていたのは民主主義でありましたが、残念ながら、小牧市議会における民主主義の成熟度はこの程度しかないのかという悲しい思いにさせるものでした。

 しかしはっきりさせておかなければいけない点は、市議会の採決で決まったことは、「こども未来館が是か非かという住民投票はやらない。」ということだけです。別に「市民がこども未来館の建設にオッケーを出した」などという類のものではありません。そういう意味で、ラピオへのこども未来館建設はいいのか悪いのか、こども未来館の中身を問うことは、まだこれから続いていくものです。当然市民は、今後のこども未来館建設の動向、市長と市議会の動向にも注意を払っていくことになると思います。

 また、住民投票とは別件ではありますが、「こども未来館建設に関わる」談合・情報漏えい、情報の隠ぺい・改ざん疑惑についても、まだ事実・実態が明らかにされていません。

 ですから、少なくとも、第3者委員会による調査結果・結論が出るまでは、こども未来館の建設計画を先に進めるべきではないと考えます。そうでなければ、市民は納得できるとは思えません。

 これらのことも含め、今後も市民は、市長と市議会の動向に注目し、見守り続けていくと思います。

 そして、その思いは、市長と市議会の刷新にも向けられることにもなるのではないかと感じています。

こども未来館 小牧市議会本議会での市長意見書に物申す2018年12月13日 08:59

 山下市長は12月11日の市議会にこども未来館整備計画の是非を問う住民投票条例を付議しました。意見書を付け、最後は「住民投票条例は制定すべきでないと、強く訴える」と、10015筆の民意を否定し反対するという態度を明らかにしたのです。

 ここでは、山下市長の意見書を取り上げ、どんな問題点があるのかを明らかにしたいと思います。

 まずは、こども未来館建設に関わる経過の問題です。

 こども未来館の整備過程で、「審議会からの答申を尊重する形で新図書館の建設場所をA街区とする考えを固めた後、こども未来館をラピオ内に早期に整備することになった」という点についてです。

 それは事実とは明らかに違っています。事実は、市長がA街区図書館建設を文教建設委員会に提出したのは、4月27日のことでです。その同じ日にラピオ内にこども関連施設を創ると言っており、これは、こども未来館のことを指すと考えられます。つまり、ラピオ内こども未来館建設とA街区図書館建設の構想は、同時に進行していたわけです。

 また、その発表前4月10日にはすでに、ラピオからの平和堂の撤退が発表されていたわけです。2月8日審議会答申が出た後に、4月10日平和堂撤退すなわちラピオに空床がでるという情勢の大きな変化があったわけであり、その時点で新図書館をどこに造るか立ち止まって考え、また議会に問う機会は十分あったはずです。

 また、こども未来館は「6次総合計画新基本計画の3つの都市ビジョンに基づくものである」という言い方についてですが、これも正しくはないと思います。  こども未来館については、第6次総合計画では全く触れられていません。「各地区の児童館、児童クラブ、子育て支援センターなどを地域で行う子育て支援の拠点として位置付け・・・」というように、地域の小型児童館や児童クラブ、子育て支援センターの記述はあっても、こども未来館のこの字も書かれてはいません。

 また、第6次総合計画新基本計画でも、都市ビジョン1で「こども夢チャレンジNO1都市」とは言っていますが、具体的な政策では、地域こども子育て条例の制定が出てはいますが、こども未来館の記述は一切ありません。それは、4月27日の文教建設委員会の場で、急に出てきたものです。

 

 次に、建設の内容に関わることです。まず言っておかなければいけないのは、子育て世代包括支援センターをラピオに入れることに自体は、何の問題もないと考えます。というか、それはすでに開設されていることです。

 そして、児童センターを「市の子育て支援の中核施設として、中央児童館として位置付け、市内はもとより、市外からの利用も考えている」という点についてです。

 まず言わなければいけないのが、児童センターには、各地域の小型児童館を指導したり、連絡調整したり、まとめたりする機能はないということです。それは、都道府県設置の大型児童館がすることです。ですから、こども未来館が中央児童館であるという言い方は、ふさわしくありません

 また、市外からの利用も想定しているというのは、全くありえないというのではないにしろ、児童センターの本来の役割である「地域の拠点・子どもの居場所になり、その中で日常的にこどもが成長するところに、児童館・児童センターの意味がある」というガイドラインに基づいた位置づけを無視した考え方ではないでしょうか。

 なお、蛇足ではありますが、「児童館は中学校区ごとに整備している」という点は、明らかに事実誤認をしています。現在、光ヶ丘中学校区と岩崎中学校区には児童館はありません

 

 次に、「市民への周知については、基本構想策定や設計のためのワークショップを開催し、随時その経過を市のホームページで公開している」という点に関してです。

 ワークショップというのはそもそも一般的には「体験型講座」を指しています。遊びのような活動を行ったり、制作や表現活動をしてそれを披露したり、ディスカッションをしながら思考力・表現力などのスキルを伸ばす場所という意味です。双方向のやりとりはあるにしろ、パブリックコメントのように市が公的に市民の意見を聞くものとは性格が違うもののはずです。

 実際、図書館問題のワークショップに参加した人からは、「設計図段階なのに建築見本を見せて、意見をきくというより建築見本のおひろめの要素が強いと感じた。」という感想もありました。それから今回多かった、特に中高生を対象としたワークショップというものは、体験しながら学習する・勉強するという要素が強いものです。ですから一般的に、ワークショップを開くことが市民の意見を聞くことにはなるわけではないと思います。ましてや、パブリックコメントと同列におくのは、どうやっても無理があります。

 そして今回、その設計段階ワークショップですら、中学生を中心に各回平均15名程度が参加したものにとどまっています。有識者と言われている人のワークショップは各回8名程度の参加です。これで市民の声を聴いているというのは、どう考えても無理です。

 意見を聴くというのなら、パブリックコメントの内容がどう施策に生かされたのか説明するのがまず必要なことではないでしょうか。説明会などを開き、説明責任を果たすことが大切だと思います。

 

 次に、住民投票を実施するにあたっての諸問題についてです。

 まず、「市長選の告示前に住民投票運動が行われることになる。」ということについてですが、これは、何が問題なのでしょうか?  投票となれば費用が伴うことになります。できるかぎりかかる費用の少ない方法を考え、市長選挙、市議会議員補欠選挙との同日投票という形で住民投票を実施し、そのための条例を制定することを目指すことが、いけないということなのでしょうか?

 そもそも、こども未来館の是非を問う住民投票と、市長を選ぶ市長選挙の目的を混同させる方がおかしいと思います。それぞれ、個別に進めていけばいいだけのことです。「市民が混乱する」というのは、市民がそういう区別もできないということを念頭に置いた、おかしな考え方だと思います。

 次に、今後のことを含めた考え方についてです。「こども未来館整備の是非のみを問う住民投票は、市政に混乱と停滞を招く」という点です。

 しかし、その心配は無用ではないでしょうか。まだ設計段階ですから、これからまだ、いろいろな道は残されています。しっかり市民の声を聴き、是非を決める住民投票が実施されれば、自ずと今後の道は決まってくると思います。

 少なくても私は、ある程度のプランを持ってはいますが、それを押し付けることをしたくありません。市民は、今後のことも含めて考えていると思います。そういう意味で、市民を、そして市民による住民投票を信じることが大事なのだと考えます。

 

 最後に、このこども未来館建設については、「市議会と市長が、広い視野と高い見地から問題を調査検討し、市民の代表である市議会において議論を尽くして決定したものだ。」という点についてです。

 国政・市政を問わず、議会制民主主義が基本であることは十分わきまえており、尊重しているつもりですが、その中心に座っているのは主権者たる国民・市民であることもまた忘れてはいけないと考えます。

 また、そういう意味で国民・市民の代表者はおごり高ぶってはいけないと思います。広く市民の意見を聴く謙虚さも必要なのだと考えます。

 何としても、本住民投票条例を採択し、住民投票を実施ほしいと思います。